チームでのパスワード管理は、3人程度なら簡単です。15人にもなると、破綻し始めます。

小規模な会社では、使うツールは少数で、共有アカウントもいくつかあり、パスワードは通常、非公式な1つの場所に保存されています。例えば、スプレッドシート、チャットでピン留めされたメッセージ、共有ドキュメントなどです。

事業に人が増えるにつれ、非公式な共有では、必要なアクセスとリスクの高いアクセスの区別がつきにくくなります。日常的に使うツールのパスワードが、財務、管理者、クライアント、インフラシステム向けの認証情報と混ざってしまいます。リストは外から見ると整理されているように見えても、誰が実際に何へのアクセスを必要としているかは反映されなくなります。

事業が成長するにつれ、共有される認証情報には構造と管理が必要になります。誰が各パスワードにアクセスできるか、どの部門が認証情報を所有しているか、そして人が入社、退社、役割の変更をするにつれてアクセスがどう変わるかです。

この記事では、チームや部門ごとにパスワード保管庫を整理する方法、グループベースのアクセスが最小権限の原則をどのようにサポートするか、そしてオンボーディングとオフボーディングをより安全にする方法を、認証情報の乱れがセキュリティや業務運営の問題になる前にご説明します。

共有パスワードのアクセスがスケールしない理由

非公式な共有は、成長する会社が最初に頼るモデルです。非公式な共有は利便性を重視した仕組みです。パスワードはスプレッドシート、チャットのスレッド、誰かのブラウザなどに保存され、ログインが必要になるたびにアクセスを頼む必要はありません。

しかし、その利便性はすぐに混乱とリスクに見合わなくなります。より多くのチーム、請負業者、クライアント、ツールが事業に関わるようになると、共有リストは実際の業務に対して広すぎるものになります。例えば、財務チームには銀行、給与、請求書発行の認証情報が必要でも、広告アカウントや開発者ツールは不要です。マーケティングにはアナリティクス、コンテンツ、ソーシャルメディアへのアクセスが必要でも、法務ポータルやインフラの認証情報は不要です。

こうした問題は日常業務の中で現れますが、このモデルが危険になるのはオフボーディングの時です。誰かが退社すると、その人がどの認証情報にアクセスしたか、コピーしたか、まだ覚えているかを会社が確実に把握する方法はありません。パスワードを変更するということは、新しいパスワードを同じ無防備なチャンネルを通じて再度配布することを意味し、誰が受け取ったかの記録も残りません。その手間を考えると、パスワードの変更を省略してしまう会社も少なくありません。

構造化された保管庫とグループベースのアクセスを備えたビジネス向けパスワードマネージャーは、曖昧さを管理に置き換えます。アクセスは意図的に付与、確認、失効させることができます。

保管庫が大きくなるほど、アクセス制御としての有用性は下がります。パスワードを安全に保管することはできても、事業の実際の運営方法、各認証情報の所有者、誰がそれを使用できるべきかは反映されなくなります。

チームベースのアクセスで最小権限を実現

部門別の認証情報アクセスの背後にある原則はシンプルです。人は自分の仕事に必要な認証情報にだけアクセスできるべきです。

最小権限の原則が有用なのは、認証情報へのアクセスに明確な判断基準を与えるからです。その人は仕事のためにその認証情報を必要としているのか、それとも一度アクセスを付与されて以降、見直されることなく持っているだけなのでしょうか。チームでのパスワード管理では、この問いが、保管庫の作成方法、誰が参加するか、いつアクセスを削除するかを決めるべきです。

これは共有される認証情報にとって特に重要です。共有ログインは、複数の人が使用できるため、個人のアカウントよりも管理が難しいものです。

その認証情報に、アクセスする必要のない人もアクセスできる場合、会社は何のメリットもないままリスクにさらされます。閲覧できる人が1人増えるごとに、その認証情報が自動入力、コピー、フィッシングの対象になり得るデバイスが1つ増えるからです。パスワードが安全な場所に保管されていることは分かっていても、保管庫へのアクセスを持つ全員が今も使用する正当な理由を持っているかまでは分かりません。

グループ機能を備えたProton Pass for Businessは、この問題を解決します。管理者は、チーム、部門、プロジェクトに対応するグループにメンバーを整理し、そのグループを特定の保管庫やアイテムに割り当てられます。これにより、個別の付与リストではなく役割に基づいてアクセスが管理されます。

保管庫の構造はリスクに合わせるべきです。リスクの低い業務用ログインは簡単に共有できますが、管理者認証情報、財務ツール、人事システム、顧客データのエクスポート、バックアップアクセスには、より厳格な管理が必要です。

優れた保管庫の構造とは

有用な保管庫の構造とは、すべてを与えることなく、必要なものを見つけやすくするものです。

多くの成長中の中小企業にとって実用的な基本構成は、チームごとに分けた次の6つのパスワード保管庫です:

  • 財務: 経理、給与、銀行業務、請求書発行、税務ポータル、決済プラットフォーム。
  • マーケティング: ソーシャルメディア、アナリティクス、広告、コンテンツ管理、デザインツール。
  • 営業およびカスタマーサクセス: CRM、提案ツール、カスタマーポータル、サポートプラットフォーム。
  • 業務運営: ベンダーポータル、プロジェクト管理ツール、物流、調達。
  • ITおよびセキュリティ: 管理コンソール、バックアップアカウント、デバイス管理、DNS、ホスティング、インフラ。
  • 経営層: 取締役会資料、投資家ポータル、経営幹部向けサービス、機密性の高いベンダーアカウント。

保管庫の構造とグループアクセスが連携すれば、管理者は権限を大規模に管理できます。財務グループを財務保管庫に、ITグループをインフラ保管庫に、プロジェクトグループを一時的なクライアント業務に割り当てます。こうしてアクセスは、管理者の記憶ではなく組織図に沿って拡大していきます。

基本構造が整ったら、リスクに見合う場合にはアクセス制限付きの保管庫を作成します。ITチームは、汎用のIT保管庫と、特権管理者用の別の保管庫を持ち、それぞれを適切なグループに割り当てることができます。

これはオンボーディングとオフボーディングの際に特に重要になります。グループに人を追加すると、必要な保管庫がすべて一度に付与され、削除すればすべてが一度に失効します。

目的は保管庫を複雑にすることではありません。リスクレベルが大きく異なる認証情報を混在させないことにあります。ソーシャルメディアの投稿スケジューラーが、給与業務と同じアクセスを共有すべきではありません。

チームサイズ別のパスワード保管庫の構造

非常に小規模な事業に、エンタープライズレベルの保管庫アーキテクチャは必要ありません。早すぎる過剰な構造化は、混乱を招き、導入を遅らせる可能性があります。

1〜2人の規模でも、業務用の認証情報と個人用の認証情報を別々の保管庫に分けることは、成長への土台となります。

3〜10人のチームでは、いくつかの大まかな保管庫で十分な場合があります。会社の業務、財務、マーケティング、ITなどです。最も重要なのは、すべてを1つの保管庫にまとめず、最も機密性の高い認証情報は分けておくことです。

10〜50人のチームでは、保管庫の構造を実際の組織体制に合わせる必要があります。この段階では、認証情報へのアクセスが日常業務の一部になります。メンバーがチームに加わり、請負業者が特定のプロジェクトのために参加し、マネージャーはチームが使用するツールに責任を負い、管理者は各認証情報を一つひとつ開かなくてもアクセスを確認する方法を必要とします。請負業者や外部の協力者は、範囲を限定したアクセスではなくプロジェクト専用の保管庫に割り当てれば、担当業務に必要なものだけが表示され、プロジェクトの終了とともに自動的にアクセスを失います。

50人以上のチーム、つまりより大きな中小企業やミッドマーケットのチームでは、保管庫を部門と役割の両方に合わせる必要があるかもしれません。部門のラベルだけでは必ずしも具体的とは言えません。財務部門で働いていても銀行業務へのアクセスは不要な場合や、IT業務をサポートしていても特権管理者の認証情報は不要な場合があります。

構造は事業に合わせるべきであり、その逆であってはなりません。以下のセクションでは、オンボーディング、オフボーディング、継続的なアクセスレビューを通じて、この構造をどのように運用に落とし込むかを説明します。

オンボーディングに構造を組み込む

オンボーディングでは、パスワード管理の弱さが露呈しがちです。新しい従業員が入社すると、誰かが、その人がどの認証情報を必要とするか、それらのパスワードがどこにあるか、誰が共有できるか、どのアクセスは研修や承認後まで待つべきかを覚えていなければなりません。

チームベースのモデルは、この記憶への依存を解消します。財務の新入社員が入社しても、同僚が手作業で各認証情報を特定して共有する必要はありません。必要なアクセスのために財務グループに追加するだけで済みます。リンクを転送したり、チャットにパスワードを貼り付けたり、財務チームが通常どのツールを使っているかを覚えたりする必要のある人はいないはずです。

その人は財務グループに追加されるだけで、割り当てられた保管庫とアイテムを自動的に引き継ぎます。対象はその役割に関連する認証情報だけです。これによりオンボーディングが迅速になり、機密性の高いアカウントが必要なチームの外に広まるのを防げます。従業員はパスワードを探し回らずに業務を始められ、会社も利便性のために広範なアクセスを与えることを避けられます。

ここで、明確なパスワードポリシーが役立ちます。Protonのパスワードポリシーの作成ガイドでは、企業がパスワードの作成、安全な共有、アクセス管理、認証のルールをどのように定義できるかを説明しています。認証情報がすでにチームごとに整理されていれば、これらのルールは適用しやすくなります。

オフボーディングをより安全にする

共有の会社用保管庫が1つだけの場合、失効は全か無かになります。退社する従業員が数十、数百の認証情報に触れている可能性があり、大規模なパスワード変更を行うか、あるいはもっと悪いことに、退職者がアクセスを持ったままになるかのどちらかです。

適切に行うオフボーディングは次のようになります:

  1. その人をチームおよびプロジェクトのグループから削除します。
  2. その人が所有または管理していた認証情報を確認します。
  3. 必要に応じて、リスクの高いパスワードを変更します。

企業は、すべてのパスワードを緊急対応のように扱うのではなく、実際にリスクを伴う認証情報に、ローテーションとレビューの労力を集中できます。

グループの作成が効果を発揮するのはここです。アクセスを共有保管庫だけで管理している場合、管理者は対象者を保管庫ごとに一つずつ失効させる必要があります。グループを使えば、グループからそのメンバーを削除するだけで、そのグループに割り当てられたすべての保管庫とアイテムが一度に失効します。監査のような作業の代わりに、たった1つの操作で済みます。

同じ論理は、メンバーの役割が変わったときにも適用されます。営業から運用部門に異動した人が、デフォルトで古いCRM管理者認証情報を保持し続けるべきではありません。役割の変更は、退職時と同様に保管庫アクセスの見直しのきっかけにすべきです。グループベースのアクセスなら、この見直しは迅速です。グループ間でメンバーを移動するだけで、アクセスは自動的に更新されます。古いCRM認証情報が失効し、新しい運用保管庫が付与される、そのすべてが1つの簡単なステップで完了します。

管理者の可視性向上

適切なチームパスワード管理により、管理者はアクセス状況を明確に把握できます。基本的な質問にすばやく答えられるはずです。

管理者が答えられるべき、アクセスに関する重要な質問

  • 財務の認証情報にアクセスできるのは誰か?
  • 業務委託者が含まれる保管庫はどれか?
  • 管理者パスワードにアクセスできるユーザーは誰か?
  • どの認証情報が部門間で共有されているか?
  • 従業員の退職後、何が変わったか?
  • どの保管庫に高リスクまたは特権アカウントが含まれるか?

NCSCのユーザー情報とアクセス管理に関するガイダンス(新しいウィンドウ)では、誰が、何がシステムとデータにアクセスできるかを制御することの重要性が強調されています。また、アクセスを必要な範囲に限定し、定期的にアクセスを見直すことも示されています。

アクセスが責任ではなく利便性を中心に整理されている場合、これは困難です。整然とした保管庫構造があれば、管理者はセキュリティ監査、アクセスレビュー、顧客アンケートに取り組む際のより強固な出発点を得られます。

ITチームにとって、Proton Pass for Businessは一元管理、ポリシー、安全な共有、レポートとログ、SCIMプロビジョニング、SSO統合をサポートします。チームは、ブラウザに保存されたパスワードや共有スプレッドシートでは得られない一元的な可視性を手に入れます。

共有保管庫管理でよくある間違い

共有保管庫の問題は、多くの場合、ショートカットとして始まります。その時点ではアクセスが楽になりますが、後で誰がどの認証情報を使えるのかを把握しにくくなります。

成長中の企業における共有保管庫の失敗の大部分は、次の5つの間違いに起因します。

会社の保管庫を1つだけのまま長く使い続ける

1つの保管庫では当初はうまくいっても、最終的には役割外の認証情報へのアクセスまで多くの人に与えてしまいます。

1人の管理者の知識に依存する

重要な認証情報がどこにあるのかを1人だけが知っている場合、企業はプロセスではなく記憶に依存することになります。そしてその知識は、その人が退職すると同時に失われます。

保管庫アクセスを恒久的なものとして扱う

メンバーは役割を変え、業務委託者はプロジェクトを完了し、ベンダーは離れていきます。保管庫へのアクセスもそれに合わせて変更すべきです。

認証情報のローテーションを忘れる

退職時、役割の変更、または過度に広い共有が行われた期間の後には、パスワードの変更が必要になることがあります。特に管理者アカウント、財務ツール、顧客システム、ベンダーポータルでは重要です。

日常的なログインと特権アクセスを混在させる

チーム保管庫は日常業務を楽にしてくれますが、高リスクの認証情報には、より厳格なレビューとより限定的なアクセスが依然として必要です。

これらの間違いの根本原因はどれも、利便性を中心に整理されたアクセスにあります。そして解決策も同じです。チーム、役割、リスクを反映した構造です。

Proton Pass for Businessがチームのパスワード管理をサポートする方法

Proton Pass for Businessは、企業が非公式なパスワード共有から構造化された認証情報管理へと移行するのに役立ちます。チームは強力なパスワードを生成し、暗号化済みの保管庫に認証情報を保存し、アクセスを安全に共有し、業務用パスワードを一箇所から管理できます。

企業向けパスワードマネージャーは、認証情報を保存し共有するためのより安全な場所をチームに提供しますが、認証情報を取り巻く構造も依然として重要です。成長中のチームにとって次のステップは、共有アクセスが実際の働き方を反映していることを確認することです。部門、役割、プロジェクト、リスクレベル別に整理しましょう。

Proton Passのグループ機能を使えば、認証情報へのアクセスはチームが実際に働く単位で管理されます。管理者は部門やプロジェクトに対応するグループに保管庫とアイテムを割り当て、メンバーの変更に応じてアクセスが自動的に更新されます。新しいメンバーの追加には必要なすべてが付与され、削除すればすべてが失効します。

より明確な構造により、安全な共有が業務の流れの中で管理しやすくなります。認証情報は実際に使用するチームと役割を中心に整理され、管理者はアクセス状況をよりよく把握でき、従業員は秘密情報をチャット、メール、個人のメモに移すことなく、必要なパスワードを見つけられます。

企業向けパスワードマネージャーで、チームの認証情報アクセスを整理しましょう。